螺亭
南康(なんこう、江西省)に、田螺(たにし)を採って暮らす女がいた。ある時、女は出かけて帰りが遅くなり、亭(あずまや)に泊まった。
その夜中、風が起こり、雷鳴がとどろいた。その音で目を覚ますと、近くで何かうごめく気配がする。その時、稲光が走り、無数の田螺を照らし出した。田螺は口を開けて、いっせいに女に食らいついた。
翌朝、亭には女の骨だけが残された。以来、人々はこの亭を「螺亭(らてい)」と呼ぶようになった。
(六朝『任[日方]述異記』)
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