2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

壁龍

唐の柴紹(さいしょう)の弟の某は武勇に優れていた。非常に身のこなしが敏捷で、十数歩(一歩は約1.5メートル)もの高さまで飛び上がることができた。 これに興味を覚えた太宗は、皇后の兄、長孫無忌(ちょうそんむき)の鞍一揃いを盗み出すよう命じた。無…

銅人の怪

処士の張[糸眞](ちょうしん)は早くに妻を江陵(こうりょう、湖北省)で亡くした。その後、すぐに妾を入れたのだが、これがたいそう艶麗(えんれい)であった。 妾を迎えて十日足らずのある日、料理番の下女が竃(かまど)の下で小さな銅人を見つけた。大…

逢瀬

壮士の某(なにがし)が湖広(ここう、湖北湖南一帯のこと)の古寺に泊まっていた。 ある夜、明月があまりに美しかったので、某は寺を出て辺りを散策した。ふと見ると、林の木々の間を何やらふわふわ飛んでいる。目を凝らしてみたところ、唐巾(とうきん、頭…

夜来香の女

定陶(ていとう、山東省)の徐生(じょせい)は雅やかな美少年であった。物腰は柔らかで、いつもしゃれた身なりをしていた。 隣家の晁(ちょう)氏の庭に一株の夜来香があった。高さは庇(ひさし)まであり、数千もの花を咲かせていた。花は盃ほどの大きさが…