2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小夫人と千人の戦士

昔、恒水(こうすい、ガンジス川のこと)の上流に一国があった。その王の小夫人が肉塊(にくかい)を産み落とした。大夫人は妬んで、 「不祥(ふしょう)の兆しを産み落とした」 と言って、肉塊を木箱に入れて恒水に捨ててしまった。 下流の国の王が恒水のほ…

紫雲観の女道士

唐の開元二十四年(736)の二月、玄宗は洛陽に行幸した。当時の河南尹(いん、長官)は李適之(りせきし)であった。 その日、洛陽一帯では大風が吹き、玉貞観に一人の女道士が飛ばされてきた。その噂を聞きつけて参拝客が集まり、玉貞観(ぎょくていかん)…

羊になる

都のある士人の妻はたいそう嫉妬深かった。ささいなことで悋気(りんき)を起こしては夫を罵り、ひどい時にはむちで打った。そして、いつも夫の足に長い縄を結びつけ、用のある時にはこの縄を引っ張って呼んでいた。 これにたまりかねた夫はひそかに出入りの…