2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

南斉の武帝の御世(483〜493)のことである。 東山(江蘇省)の土中から不思議な物が掘り出された。形や色は人の唇に似て、その間から真っ赤な舌がのぞいていた。触ると妙な弾力があり、はなはだ気色が悪い。当地の役所を通じてこの不思議な物は帝に献上され…

灯下の鬼

金の大定年間(1161〜1189)のことである。忻州(きんしゅう、山西省)の賀端中(がたんちゅう)が宣聖廟(せんせいびょう、孔子廟のこと)に物忌みのために泊まった。 その夜、灯火の下に大きな青い鬼が現われた。髪は逆立ち、目はかがり火のように爛々と光…

書生と蛇

昔、范(はん)県(現山東省)に一人の書生がいた。たまたま外出した折に一匹の小蛇を見つけた。その蛇のあまりにも頼りなげな姿に哀れをもよおした書生は連れ帰って飼うことにした。始めは小さかかった蛇も数ヶ月もすると立派な蛇に成長した。 書生は飼いは…

孝子の幽鬼

海陵(かいりょう、江蘇省)に孝子がいた。七、八歳の時に父親が他郷で死んだのだのが、家に余分な蓄えはなく、孝子は幼いうちから懸命に働いた。そのおかげで、母親は再婚しなくてすんだ。 成人すると、某氏の娘と婚約した。しかし、まだ娶らぬうちに、孝子…

疑心暗鬼

建寧府(けんねいふ、福建省)城外に林二四(りんじし)という漬物売りが住んでいた。 毎日、天秤棒を担いで城内まで漬物を売りに行っていた。商売はそこそこに順調だったが、一つだけ問題があった。行き帰りに必ず刑場を通らなければならなかったのである。…