2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

郭璞

晋の中興(東晋の成立)のはじめに、郭璞(かくはく)は卦で自分が不吉な最期を遂げることを知った。 ある時、建康(現在の南京)の堤(つつみ)を歩いていて、一人の少年を見かけた。その日はたいそう寒かったが、少年は単衣(ひとえ)しか着ておらず、懐に…

大力長者

北斉の稠(ちゅう)襌師は幼くして出家した。当時、寺には腕白ざかりの小坊主がたくさんおり、休憩時間になると相撲をとって遊ぶのが常であった。稠襌師は生来ひ弱だったので、小坊主達の格好な標的となった。相撲を取ると称してはつき転がされ、いじめの対…

雷神

鉛山(えんざん、江西省)の男が美しい女に思いを寄せた。しかし、女には夫があり、容易にはなびかなかった。 ある時、女の夫が病気になった。大雨が降り、昼間でも暗い日であった。男は派手な模様の着物に作り物の翼を着け、雷神の装いをした。そして、女の…

李載

大暦七年(772)、大理評事の李載(りさい)が監察御史を兼任し、福建の節度観察を代行した。李載は建州浦城(ほじょう)に役所を設置したのだが、浦城から建州までは七百里(当時の一里は約 560メートル)離れており、その地は瘴気(しょうき)に満ちていた…

二人の妾

靖康二年(1127)の春、都は陥落し、連日、金軍の略奪と暴行にさらされた。多くの軍民や官吏、皇族や妓女、役者が連行された。 ある朝、朝廷に仕える官吏の王なにがしの邸の門前に二人の女が坐り込んでいた。使用人が門を開けると、女達は中に駆け込み、王の…

海井

華亭県(現在の上海付近)の市中に小さな雑貨屋があった。雑貨といっても役に立つのかどうかわからないような小物を並べているだけである。そこに、ある時、小さな品が並んだ。 一見すると底のない小さな桶のよう。材質は竹でもなければ木でもなく、金でもな…

生きていた死刑囚

順治年間(1644〜1661)、山東の張立山が開化(浙江省)の県知事となった。木子雄(もくしゆう)という男が財産を奪うために殺人を犯して、死刑を言い渡された。後は刑の執行許可が下るのを待つばかりであった。 たまたま張立山の親が死んだため、郷里に戻っ…