2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

非凡な死

岳飛(がくひ)が非業(ひごう)の死を遂げた後、その部下は離散した。優れた人材が揃っていたのだが、金との和議がなった以上、もう必要なくなってしまったのである。 何宗元(かそうげん)もそうした武将の一人であった。彼は数多の戦功を立て修武郎(しゅ…

王大

穎陽(えいよう、河南省)の蔡四(さいし)は文才豊かな人であった。唐の天宝年間(742〜756)はじめに、彼は家族とともに陳留(ちんりゅう、河南省)の浚儀(しゅんぎ)に移り住んだ。 蔡四が詩を吟じると、いつもどこからか鬼が現われ、榻(ねだい)に上が…

尻の肉

福建のある県で十四歳の少年が殺される事件が起きた。犯人はすぐに捕らえられた。 県令が死体を検分すると、首から下に数か所の傷があった。ここまでは普通の死体であったが、不思議なことに尻の穴を中心に肉が大きくえぐり取られていた。仔細に調べると、尻…

南海漂流

陵州刺史の周遇は生臭を口にしなかった。劉恂(りゅうじゅん)がその理由を問うたところ、自らの不思議な経験を語って聞かせてくれた。 周遇が若い頃、青土(山東省)から海に乗り出し、福建に行こうとした時のことである。運悪く時化(しけ)に遭い、五日も…

小人達

漢の武帝が未央(びおう)宮に群臣を集めて宴会を開き、ご馳走を箸に挟んで口に運ぼうとした時、かすかに人の声が耳に入った。 「爺いめが、お恐れながらお願い申し上げたき儀がござりまする」 帝が辺りを見回したが、姿は見えない。あちこち探させると、よ…