卵白

梁の頃のことである。沐浴(もくよく)の時に、いつも卵白で髪を洗っている人がいた。


「卵白で髪を洗うと、艶がよくなる」


とのことで、沐浴のたびに二、三十個もの鶏卵を使っていた。


その人が息を引き取る時、髪の中から奇妙な音が聞こえた。まるで数千羽の雛がさえずっているような音であった。



六朝『冤魂志』)



中国怪談 (角川ホラー文庫)

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