朱子之の家の幽鬼
東陽郡(浙江省)の朱子之(しゅしし)の家にはいつも幽鬼が現われた。別に悪さをすることもなかったので、家族は普通の人間と同じように接していた。
朱子之の息子が胸の病を患い、たいそう苦しんだ。幽鬼が言った。
「虎の睾丸を焼いて飲ませれば、すぐに治るさ。戟(げき、矛の一種)をおくれよ。ちょっと行って取ってくるから」
戟を与えると、幽鬼はどこかへ出かけて行き、しばらくして戻って来た。戟を中庭に放り出し、虎の睾丸を投げてよこした。切り取ったばかりのようで、まだ暖かかった。
(六朝『斉諧記』)
- 作者: 話梅子
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