三頭の馬と一つの槽

曹操司馬懿(しばい)の息子達が曹氏に忠義でないのではないかと疑っていた。また、かつて三頭の馬が一つの槽(おけ、槽《そう》は曹と同じ音)から飼い葉を食べる夢を見たこともあって、ますます司馬氏を憎んだ。


そこで、息子の曹丕(そうひ、後の魏の文帝)と孫の曹叡(そうえい、後の明帝)を呼んで、自分の見た夢のことを告げた。そして、こう言いつけた。


「用心するのだ、専横を許してはならぬ」


果たして、後に曹氏は司馬氏に害せられ、天下は司馬氏に奪われた。すべて夢の通りになった。



六朝『幽明録』)