狐総管
都の西単牌楼(せいたんはいろう)に大きな貸し家があった。狐が棲みついたために、借り手がなかった。家賃を得られないことに腹を立てた家主は、自ら貸し家に出向いて狐を罵った。
その晩、家主の幼い子供がいなくなった。家族総出で探し回ったところ、子供は翌日貸し家で見つかった。どうしてこんなところにいるのかとたずねても、わからないと言う。連れて帰ったものの、子供は日に日にやせ衰えていき、ついには危篤に陥った。
ある人が東便門の門楼に狐の総管がおり、都の狐を取り締まっていると教えてくれた。家主は東便門に出かけて行って、酒食を供え、狐の悪行を訴えた。
数日後、貸し家へ行ってみると、樹の上に大きな狐の首がかかっていた。おそらく狐の総管に罰せられたのだろう。
(清『右台仙館筆記』)
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