柳子華

唐の頃、柳子華(りゅうしか)という人がいた。柳子華は城都(じょうと)県(山東省)の知事となった。


ある日の正午、突然、牛車が役所を訪れた。前後を騎馬姿も凛々しい美女が守っており、どこから来たのかはわからなかった。美女の一人が柳子華の前に進み出て言った。


「龍女様がお着きになりました」


それに続いて牛車から目もくらむほど美しい女が降りてきた。龍女は侍女に助けられて階(きざはし)を上がり、柳子華と対面した。


「縁あって、あなたと夫婦(めおと)になりにまいりました」


酒宴の用意がされ、楽隊が呼ばれた。龍女は柳子華と婚礼を挙げると、来た時と同様、牛車で立ち去った。


以来、龍女は柳子華のもとへ通ってきた。このことは近隣の皆が知るようになった。


しばらくして、柳子華は県知事を辞職し、姿を消した。人々は柳子華が龍宮へ行き、水仙になったのだろうと思った。



(唐『劇談録』)



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